心疾患・不整脈

心疾患とは

心疾患とは心疾患とは、心臓に異常が生じて血液循環が妨げられる病気の総称で、何らかの原因によって心臓の働きに異常が起こり、血液循環が上手くいかなくなることで発症します。
代表的なものとしては、虚血性心疾患、不整脈、心臓弁膜症、心不全などがあります。
日本国内では、約305.5万人もの人々が心疾患に罹患しております。

日本人の死因第2位は心疾患

年間で約21万人が心疾患で亡くなっており、全死因のうち約14.9%を占めています。
日本人の死因で最も多いのはがん(26.5%)で、次に多いのが心疾患です。
この代表的な二つの疾患に、脳血管疾患(7.3%)を加えて三大疾病と呼び、日本人の三大死因と言われています。

心疾患の種類

虚血性心疾患

虚血性心疾患は、心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで発症する病気です。
血液の循環が悪くなるため、心臓が十分な酸素を受け取れず、狭心症や心筋梗塞などが起こります。
狭心症は一時的な血流障害で、胸部の痛みや圧迫感を引き起こします。
心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まることで、重篤な胸部痛や心筋の壊死をもたらします。
虚血性心疾患のリスクは高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病、運動不足などの要因によって上昇します。
予防には健康な生活習慣の維持や薬物療法が重要です。

不整脈

不整脈とは、心臓のリズムが正常に保たれず、不規則な動悸や心拍数の異常を引き起こす状態です。
心臓の電気的なシステムが乱れることで起こります。不整脈には様々な種類があり、頻脈(心拍数が速い)、徐脈(心拍数が遅い)、心室細動(心臓が乱れて激しく動く)、心房細動(心臓の上部が不規則に収縮)などがあります。
不整脈の原因は心臓病や高血圧、心筋症、甲状腺の問題、ストレスなど様々です。
重篤な不整脈はめまいや意識喪失を引き起こすこともあります。
不整脈の治療法には薬物療法、カテーテルアブレーション(異常な部位を焼灼する手術)、ペースメーカーの装着などがあります。

心臓弁膜症

心臓は右心房と左心房、右心室と左心室の4つの部屋に分かれており、それぞれの部屋をつないでいるのが「弁」と呼ばれるものです。この弁は加齢や病気の進行により機能が低下します。弁の開きが悪くなると血液の通り道が狭くなり、狭窄が起こります。また、弁がうまく閉じなくなると血液の逆流(閉鎖不全)が生じます。
心臓弁膜症の主な症状には息切れ、胸の痛み、動悸などがありますが、高齢の場合は年齢のせいと思い込んで症状を自覚しないこともあります。
早期発見と適切な治療が重要であり、定期的な検査や医師の診断を受けることが大切です。

心不全

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液が送り出せなくなる状態です。
虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)、不整脈、心臓弁膜症、高血圧など、様々な疾患が心不全の原因となります。
初期症状としては息切れや足のむくみがあります。
進行すると、安静にしていても息苦しさや疲れやすさといった症状が現れます。
急性心不全では、呼吸困難などの激しい症状が急に現れますが、慢性心不全では病状がゆっくりと進行し、身体機能が徐々に低下していきます。
早期の診断と適切な治療が重要であり、医師の指導のもとで管理することが大切です。

心疾患の治療方法

薬物療法

虚血性心疾患の治療には、カルシウム拮抗薬や抗血小板薬などが使用されます。
これらの薬は、狭くなった冠動脈の血管を拡張し、心臓への血液供給を改善し、心筋梗塞や狭心症の発作を予防します。
慢性心不全の場合は、利尿薬や強心薬などが使用されます。
利尿薬はむくみを抑え、強心薬は心臓のポンプ機能を向上させます。また、ベータ遮断薬やARB/ACE阻害薬といった薬は、心不全の進行を抑える効果があります。 さらに、再発を予防するために高血圧や糖尿病などの心疾患を悪化させる要因を管理するための薬物治療も行われることがあります。
これらの薬物治療は、病状に合わせて医師が適切な薬剤や投与量を決定し、定期的に経過を観察することが重要です。

カテーテル治療

カテーテル治療は、手や足の血管に細い管であるカテーテルを挿入する方法で、主に虚血性心疾患の治療に使用されます。この治療法では、冠動脈の狭窄や閉塞を改善するためにバルーンで拡張し、ステントと呼ばれる金属製の筒を挿入します。また、頻脈性不整脈の治療では、心臓内部の異常な部位を電気刺激によって焼くアブレーションという方法が行われます。心臓弁膜症の場合には、カテーテルを使用して人工弁を設置することもあります。カテーテル治療は外科手術に比べて負担が少なく、様々な心疾患の治療に活用されています。

外科手術

重度の心疾患の場合、外科手術が治療の選択肢となることがあります。
虚血性心疾患では、冠動脈の狭窄や閉塞した冠動脈の迂回路を作るための「冠動脈バイパス手術」が行われます。
心臓弁膜症では、弁の機能を回復させるために「弁置換術」や「弁形成術」などが行われます。
これまでは全身麻酔下で人工心肺を使用し、心臓を一時的に停止させて手術を行う開胸術が一般的でしたが、一部の手術では低侵襲手術(MICS)と呼ばれる、より小さな切開で手術を行う方法が行われています。

不安な症状がある方は当院に
ご相談ください

不安な症状がある方は当院にご相談ください心疾患は日本国内で約305.5万人(令和2年)の患者様がおり、日本人の死因では第2位となる身近な病気です。
加齢や高血圧などが原因で発症し、一部では突然激しい症状が現れることもあります。しかし、息切れやむくみなどの症状は心疾患によるものと気づきにくい場合もあります。
不安な症状がある場合は、医師に相談することをおすすめします。

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