高血圧

高血圧とは

高血圧とは、心臓が血液を送り出す際に血管にかかる圧力が一定以上高い状態を指します。一般的には、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上で診断されます。高血圧には特に症状がありませんが、放置すると脳卒中や心臓病などの重篤な合併症のリスクが増加します。予防には、適切な食事、運動、ストレス管理などの生活習慣や、必要に応じて薬物療法が行われます。早期の発見と適切な対策が重要であり、定期的な血圧測定と医師の指導を受けることが大切です。

高血圧の種類

高血圧は、「本能性高血圧」と「二次性高血圧」の2つに分けられます。
正確な診断と適切な治療は、高血圧の種類にもとづいて行われます。本能性高血圧に対しては、生活習慣の改善や減塩、適度な運動、ストレス管理が重要です。二次性高血圧の場合は、原因となる疾患の治療が行われます。

本能性高血圧

遺伝的な素因により高血圧になりやすく、塩分の過剰摂取、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、運動不足などの環境的な要因が組み合わさって発症します。日本人の多くがこのタイプの高血圧です。

二次性高血圧

他の疾患が原因となって発症します。腎血管性高血圧や睡眠時無呼吸症候群などがその例です。このタイプの高血圧では、原因となる疾患の適切な治療が必要とされます。

高血圧の症状

高血圧は、数値がかなり高くても特に自覚症状がないことも多く、進行していることに気付かないことがあります。数値が高くなると頭痛やめまい、息切れなどの症状が現れる場合もあります。そのため、定期的な血圧測定と健康診断が必要です。

高血圧の原因

血液量の増加や血液の粘度の上昇、遺伝的要因、食生活の乱れ、運動不足、加齢などが高血圧の原因とされています。塩分の摂り過ぎ、過食、食物繊維不足、栄養の偏り、過度な飲酒、喫煙、運動不足、ストレス、他の疾患や薬の影響も高血圧を引き起こす可能性があります。これらの要因が血管を圧迫することで、血管のしなやかさを失い、さらなる血圧上昇をもたらす悪循環を引き起こすことがあります。

高血圧の検査

血圧は朝と夜、そして運動や緊張などの要因によって変動します。そのため、一回の血圧測定結果だけでは高血圧と診断することは難しい場合があります。そのため自宅でも血圧測定を行い、その結果を記録することが重要です。
高血圧と診断された場合、他の疾患が原因となっている二次性高血圧ではないかを確認するために、血液検査や超音波検査などの検査を行います。これにより、二次性高血圧の疑いがある場合には、より詳細な検査が必要です。

高血圧の治療

高血圧状態が長期間続くと心筋梗塞や脳卒中などの合併症を引き起こす動脈硬化の進行に繋がる可能性があります。このような合併症を予防するためには、適切な血圧を維持することが重要です。薬物療法による降圧薬の使用と、生活習慣の改善を組み合わせて高血圧を管理します。
二次性高血圧の場合は、まず原因となる疾患の治療が最優先です。最近では難治性高血圧が増加しており、複数の降圧薬を服用しても目標血圧に到達できない場合があります。このような場合は、二次性高血圧の可能性を確認する必要があります。二次性高血圧の原因を正確に特定することで、より効果的な治療法を見つけることができます。

生活習慣の改善

塩分制限

塩分を過剰に摂取すると、血液中の塩分濃度が上昇し、それを薄めるために多量の水分が血管内に蓄積します。結果として血液量が増加し、血圧が上昇します。塩分の摂取量を制限することで血液量を抑え、血圧を適正な範囲に保つことが可能です。
日本高血圧学会は、1日の塩分摂取量を6g未満と推奨しています。一般的な食品には3g程度の塩分が含まれているため、調味料として使う塩分は1日に3g未満に抑える必要があります。ハム、ソーセージ、干物、漬物、スナック菓子、インスタントラーメンやカップ麺などは、それだけで1日の塩分摂取量を大幅に超える場合がありますので、なるべく控えるようにしましょう。
はじめのうちは減塩食が物足りなく感じるかもしれませんが、うまみのある出汁や香りの強いスパイス、薬味、ハーブ、酢やレモンなどを使用することで食事を楽しむことができます。また、塩味を控えめにして他の味付けや酸味、甘みなどを活用することでメニューにバラエティを持たせることも効果的です。

体重制限

病気になりにくい体重に減量し、その体重を維持することが重要です。基準とするための指標にBMIがあります。身長と体重から以下の計算式で求めることができます。

BMI = 体重kg ÷ (身長m)²

BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。
BMI(Body Mass Index)18.5~25が普通体重であり、BMI25以上は肥満、BMI18.5以下は低体重とされています。筋肉量などにより増減するのですが、指標にはなります。肥満の場合には生活習慣病のリスクが高まりますし、感染に対しての危険因子にもなります。低体重の場合でも、疾患のリスクは高まります。急激な体重変化があり、明確な理由がない場合は、悪性疾患の他、甲状腺疾患や糖尿病などの疾患が疑われるため、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。体重管理については、健康な範囲内での適切な栄養摂取を行い、バランスの取れた食事と適度な運動を継続することが重要です。

飲酒

1日のアルコール摂取量は、25g(ビール500ccや日本酒1合)までが適量と言われます。体重差やアルコールの分解能によるので参考程度です。前日に飲酒をしていなかった場合でも、適量は増えません。アルコールを分解する肝臓の昨日は修復に30時間以上かかるとも言われ、毎日の飲酒は適切とは言えません。過度の飲酒は健康上のリスクを引き起こす可能性があります。

運動

軽い運動を習慣的に行うことは、高血圧の改善に繋がります。適度な運動によって肥満の解消、血液の循環改善、筋力の向上、骨の強化、呼吸機能の改善などが期待され、またストレスの緩和にも役立ちます。
ただし、腰や膝、心臓などの疾患がある場合や、高血圧の方は、運動の強度、時間、頻度、内容に制限が生じることもあります。医師と相談しながら、自身に適した運動を続けることが重要です。

喫煙

喫煙は末梢血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化の進行にも関与します。高血圧の方は、禁煙が不可欠です。喫煙を続けていると、他の生活習慣の改善の効果が薄くなります。
喫煙は重篤な呼吸器疾患の発症や進行の原因となり、また歯周病の悪化とも深い関係があります。将来の健康のためには、積極的に禁煙に取り組みましょう。

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